building建物について

【銅板の屋根】

銅は時間と共に光沢がなくなります。輝きはなくなってしまうものの、重ねた銅板は強度を増し、影ができ重みのある表情へと姿を変えていくのです。弊所の銅板屋根は従業員やその家族と共に手作業で折られたもの。手で曲げられる柔らかさが弊所を囲む山々や青空などの豊かな自然ととても合います。

【涙松のテーブル】

幕末から明治時代にかけての歴史に触れられるスポットが多い山口県萩市にて、藤森先生と訪れた「涙松跡」。萩城下から山口・防府へと通じる萩往還沿い。松並木に見え隠れする萩を見返り、人々は萩のまちとの別れを惜しみ流したことから「涙松」と呼ばれるように。弊所にある松テーブルはこの土地に残っていた3本の松のうち1本を使用。歴史ある松とともに皆様をお迎えします。

【手作りの照明】

枠組み、糊付け、絵付け、温かみのある照明は銅板と同様に従業員による手作り。見上げると個性的なデザインからシンプルなものまで様々。使用している和紙は藤森先生が選び抜いた「細川紙」。埼玉県小川町・東秩父村で継承されており、その技術が国の重要無形文化財に指定、ユネスコ無形文化遺産にも登録されている。楮(こうぞ)を使い、伝統的な方法と用具で作られた細川紙は見た目の美しさもさることながら、その強靭さが大きな特徴の一つでもあります。

【焼いた杉板】

藤森建築といえば焼き杉。杉板の表面を一枚ずつ焼き炭化させることで腐食を防ぎ、耐久性を高める効果があります。長さ2~3メートルの杉板を三角柱の形に組み合わせ、内側を焼き焦がす。このひとつひとつの手作業がより趣を増していく。一般的には9~15mm厚の杉板が採用されているところ、弊所では24mm板を用いることで内部まで十分に炭化させることができ、表面の凹凸が本来の焼き杉らしさを醸し出しています。永く飽きが来ず、景観的にも美しい焼き杉で仕上げることで愛着を持って過ごすことができる佇まいとなっています。